みなさん、こんにちは。
今朝も美味しいパンで朝食を済ませた方も多いのではないでしょうか?
でも、そのパンの原料である小麦が、今、世界的に大きな問題に直面しているのをご存知ですか?
世界的な問題!?
パンが食べられなくなるの??
前回の記事では、世界的な食料危機について広く触れました。
今回は特に私たちの食卓に欠かせない「小麦」に焦点を当てて、その現状と課題、そして私たちにできることについて考えてみたいと思います。
良かったら、ゆっくり読んでいってみてくださいね!
小麦、その意外な顔ぶれ
まず、小麦がどれだけ私たちの生活に密着しているか、改めて見てみましょう。
こうして並べてみると、一日のうちに何度も小麦を口にしていることがわかりますね。
実は、日本人一人当たりの年間小麦消費量は約33kg(2020年度)。
お米の消費量(約53kg)に次いで多い穀物なのです。
日本の小麦事情、実は「輸入頼み」
さて、ここで少し考えてみてください。
私たちが日々食べているこの小麦、どこで作られているのでしょうか?
実は、日本の小麦自給率はわずか17%(2021年度)なんです。
つまり、私たちが食べている小麦製品の83%は海外から輸入されているということです。
これは先進国の中でも極めて低い水準で、例えばフランスの小麦自給率は100%を超えています(輸出もしているため)。
アメリカも100%以上、イギリスでも約90%です。では、日本はどこから小麦を輸入しているのでしょうか?
- アメリカ:約50%
- カナダ:約30%
- オーストラリア:約20%
この3か国で日本の小麦輸入の大部分を占めています。
なぜ日本の小麦自給率は低いの?
ここで疑問が湧いてきますよね。
なぜ日本は小麦をほとんど輸入に頼っているのでしょうか?
- 気候条件:
日本の高温多湿な気候は、小麦栽培に最適とは言えません。特に収穫期の梅雨は、小麦の品質低下を引き起こしやすいと言われています。 - 農地の制約:
日本は国土の約70%が山地で、平地が少ないため、大規模な小麦栽培に適した広大な農地の確保が難しいとされています。 - 経済性:
海外の大規模農場で生産される小麦と比べ、日本国内で生産する小麦のコストが高くなってしまいます。 - 食生活の変化:
戦後、パンや麺類の消費が増え、小麦の需要が急増しましたが、国内生産がそれに追いつかなかったと言われています。
小麦危機、日本への影響は?
さて、ここからが本題です。
世界的な小麦危機は、私たち日本人の食卓にどのような影響を与えるのでしょうか?
小麦がなかったら色んなものが食べられなくなっちゃうよ~~!!
- 食品価格の上昇:
最も直接的な影響は、パンや麺類、お菓子などの価格上昇です。実際、2022年以降、多くの小麦製品の価格が上昇しています。
例えば、ある大手パン製造会社は2022年に12%の値上げを行いました。 - 品質や種類の変化:
輸入小麦の確保が難しくなると、パンや麺の食感や味が変わる可能性があります。また、一部の商品の生産が中止されるかもしれません。 - 外食産業への影響:
ラーメン店やパン屋さんなど、小麦を主原料とする飲食店の経営が厳しくなる可能性があります。 - 畜産業への波及:
小麦は家畜の飼料としても使用されています。小麦価格の上昇は、肉や卵、乳製品の価格にも影響を与える可能性があります。 - 食料安全保障への不安:
輸入に大きく依存している現状では、国際情勢の変化や自然災害などにより、小麦の安定供給が脅かされる可能性があります。
世界の小麦事情、何が起きているの?
では、なぜ今、世界的に小麦が問題になっているのでしょうか?主な要因を見てみましょう。
- ロシア・ウクライナ紛争:
両国は世界有数の小麦輸出国です。2021年の世界の小麦輸出量のうち、ロシアが約18%、ウクライナが約10%を占めていました。紛争により、この供給量が大幅に減少しています。 - 気候変動の影響:
干ばつや豪雨などの異常気象により、主要生産国での収穫量が不安定になっています。例えば、2021年にはカナダで記録的な熱波により小麦の収穫量が大幅に減少しました。 - 新型コロナウイルスの影響:
パンデミックによるサプライチェーンの混乱や、各国の備蓄強化なども小麦の国際価格上昇に影響しています。 - 人口増加と需要の増加:
世界人口の増加に伴い、小麦の需要も増加しています。特に新興国での経済成長に伴う食生活の変化が、需要増加の一因となっています。
日本の取り組み
このような状況の中、日本でもさまざまな取り組みが行われています。
- 国内生産の強化:
農林水産省は、2030年までに小麦の自給率を34%に引き上げる目標を掲げています。そのために、耐病性や多収性に優れた新品種の開発や、栽培技術の改良などが進められています。 - 輸入先の多様化:
特定の国に依存しすぎないよう、輸入先の多様化が図られています。例えば、近年はアルゼンチンからの輸入も増加しています。 - 備蓄の強化:
政府は、不測の事態に備えて2.3ヶ月分の小麦を備蓄しています。 - 代替食品の研究:
米粉を使用したパンの開発など、小麦の代替となる食品の研究も進められています。
私たちにできること
じゃあ、一体どうすればいいの??
では、最後に私たち一人一人にできることを考えてみましょう。
- 食品ロスの削減:
買いすぎや作りすぎに注意し、食べ残しを減らすことで、間接的に小麦の消費量を抑えることができます。 - 多様な食材の活用:
パンや麺類だけでなく、米や芋類など、他の主食も積極的に取り入れましょう。 - 国産小麦製品の選択:
可能な範囲で、国産小麦を使用した製品を選ぶことで、国内の小麦生産を支援することができます。 - 家庭での手作り:
パンやパスタを家庭で手作りすることで、使用する小麦の量をコントロールできます。また、食育にもつながります。 - 食料問題への関心:
食料問題や農業政策に関心を持ち、選挙の際には候補者の食料政策もチェックしましょう。
まとめ:未来の食卓のために
小麦をめぐる状況は確かに厳しいものがあります。しかし、悲観的になる必要はありません。
日本の食文化は、これまでも様々な変化に柔軟に対応してきました。
例えば、戦後の食糧難の時代には、小麦粉を使ったお好み焼きが庶民の味として広まりました。また、近年では健康志向から全粒粉を使用したパンが人気を集めています。
私たちにできることは、
この問題を他人事とせず、自分の食生活を見直すきっかけとすることです。
そして、日本の食料安全保障や、世界の食料問題にも目を向けていくことが大切です。
今日の朝食のパン、明日の昼食のうどん。それらが私たちの食卓に並ぶまでには、実に多くの人々の努力と、複雑な世界情勢が関わっています。
食べることは生きること。
私たちの選択が、未来の食卓を、そして地球の未来を作り出します。
一緒に、持続可能な食の未来を考え、行動していきましょう!ではまた。